我が家の前の道路は、小学校、中学校の通学路になっている。だから、登下校の時間帯は子供たちの声で非常にうるさい。うるさいだけならいいけど、私はその声が怖くて堪らないのだ。別に、その子供たちが何かするわけでもないだろうとは思う。でも、あの甲高い声で大声を出されると恐怖に身が縮こまってしまう。
そして、よく聞き取れない声は、悪口を言われているような気がして仕方ないのだ。これは、声全般に言えることで、拡声器で宣伝を流しながら走る車でも、聞き取れない時には悪口を言われているように感じる。メンタルクリニックのドクターに言うと、リスパダールを増量してくれた。
少し、過敏になっているだけとは言うけれど、幻聴の一種らしい。本当に、聞こえるようになったら、かなりヤバいらしいけれど、気がする程度なら様子見で大丈夫だという。精神状態は、そういったことを除けば、落ち着いているといえるから、診察時間がとても短い。もう少し、親身になって話を聞いてもらいたいとは思うけど、混雑している中ではそれも難しい。
信じられないくらい混んでいるのがデフォルトなのだ。だから、私のようにある程度、症状が落ち着いていると、診察時間は短くなる。診察室で叫んだり、暴れたりしたら、まあ、それなりの対応はしてもらえるのかもしれないが、今のところ、騒ぐ気も暴れる気もない。
声が怖いと感じるようになったのは、ここ最近のことだ。おそらく、毎朝、母に電話をしなくちゃいけないというストレスが原因なのではないかと思う。でも、電話をしておかないと妹に何を言われるか分からない。私が母を苦手としていることを知っていて、電話することを強要しているわけだけど、彼女に悪気はこれっぽっちもないのだ。
妹には、薬が増えたことを伝えてあるが、多分、忘れているだろうし、母に電話することが悪化させているなんて夢にも思っていないだろう。母と妹の関係は良好だろうし、私も同じ感情を抱いていると思いこんでいるのだろうと思う。
心の病は目に見えないから、命を天秤にかけなくなった私を見て、もう、大丈夫と思っているのかもしれない。妹には幻聴の件も伝えていないし、外から聞こえてくる声が怖いという話もしていない。まあ、したところで、彼女の態度が変わるとも思えないので、何も言うつもりもないのだが、こうして恐怖感と付き合っていかなくちゃならないのかと思うと、とても憂鬱になる。
何故、こんなにも声が聞こえることが怖いと感じるのか、私自身が理解していない。ドクターも当てにならないし(診察の度に言うことが違う、歳なのかもしれない)、いったい、どうしたら落ち着いて生活できるようになるのか、アドバイスしてくれる人もいない。孤軍奮闘は続く。
あまり、気にしないようにはしているが、どうしても聞こえてくる声が怖いのだ。石を投げつけられるんじゃないかという恐怖感もある。清く正しく生きているわけじゃないから、他人の不興をを買っているかもしれない。近所付き合いもないし、誰にも文句を言われる筋合いはないとは思うけど、自分が知らないところで、何かしでかしているかもしれないじゃないか。
寛解も目前だったのに、悪化させてしまったことがショックだ。でも、怖いものは怖い。他人の視線も怖い。離れたところで、悪口を言われているような気がするのも嫌だ。実際、そんな悪口など言われてはいないんだろうとは思う。こちらの気にし過ぎだということも分かる。だけど、否定できないのだ。まったく厄介だ。
どうしたら、声が怖くなくなるだろうか。薬に頼って落ち着く以外に方法はないのだろうか。私の精神がおかしいだけだということは分かっている。おかしいけど、どうしたらいいのか分からない。好きなことをしていても、声が聞こえると手が止まってしまう。物音に敏感になっているから、家鳴りにもびくっとしてしまう。
住宅地に住んだことが間違いの始まりだったのかもしれない。でも、そこそこ都会に近くて、間取りが多くてって考えたら、ここしかなかったというのはある。ご近所が近すぎて、窓も開けらえないし、カーテンも閉め切ったまま5年目に入った。本当は、この家は嫌いだが、仕方ない。引っ越しをするわけにもいかないのだから。
田舎に引きこもることもできないし、本当に悩む。恐怖と同居しながら、如何に生きるか。どうしたらいいのか、どうしたら悪口を言われていると感じずに済むのか、声に恐怖を感じないで済むのか。心の病は、複雑過ぎる。
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