三男坊は北海道で1人暮らしをしている。逃げるように北海道に移住して、何故かうつ病を発症して仕事もできず、仕送りで生活をさせていた。彼のために子会社を立ち上げたけれど、起動に乗せるまでは半年はかかる。でも、仕送りするのも限界だ。会社経営なんてしていたら、いい時もあれば悪い時もある。毎月、仕送りするとなるとそれだけで倒産の危機だ。
だから、三男坊には帰ってきて療養生活を送って欲しいと思う。働けるなら北海道にいても問題はない。働いてうちからの仕送りを当てにせず、自立してくれたら嫌いな我が家に帰ってくることはないのだ。でも、そうじゃない。我が家からの支援がなければ生活できないのだ。我が家の窮状を知っても、彼は帰ってくることに抵抗するだろうとは思うが、放置するわけにもいかず頭を抱えている。
そもそも、そう簡単に帰ってこられないから北海道を選んだんじゃないのか。夫嫌いなあまりに逃げ出したんじゃないのか。逃げ出すことに成功して、元気になるなら分かるけど、何で鬱になるんだろう。まあ、人間の頭の構造なんて分からないから、鬱になる要因がどこかにあったんだろうとしか言いようがない。
でも、本当に限界なのだ。もう、これ以上の出費は会社の命運を左右する。帰ってきて、ここで生活してもらうしかない。それを、納得してもらうしかない。鬱は悪化するかもしれない。私が酷かった時のようになるかもしれない。だけど、仕方ないのだ。他に何か手があればいいのだが、何の手立ても思い浮かばない。
子会社の社長は三男坊の名前になっている。名前だけ社長。子会社の資金で三男坊の生活を賄うはずだったのだ。でも、親会社の方が潰れそうになっている状態で、子会社の資金繰りまで面倒みられるわけがない。三男坊に送ってきた金額を考えたら、これは倒産の危機に立たされても当然だと思った。
この物価高の影響で、売り上げが落ちているから、子会社にまで資金が回らない。実質的に動いてもいないし、この間、初売り上げがあったばかりだ。でも、それでだけで資金不足が解消するわけもなく、彼の生活を賄えるわけではない。
彼が、頑張って働けるなら問題はない。だけど、うつ病ってそんなに甘い病気ではないから、無理なものは無理だろう。北海道にいたい一心で、病気が治るとか考えられないし、仕事ができるとも思えない。うつ病の人間を仕送りもせず放置したら保護責任者遺棄になってしまう。社長の肩書を外して、生保でももらうようにするか、働くかしてもらわないと北海道に残すわけにはいかない。
私は最後まで、彼が家を出ることには反対だった。寂しくなるからというエゴからだけど、実際、北海道に行ってしまって、うつ病になってしまうと、もっと北海道行きを強く止めるべきだったと後悔する。私の人生じゃなく三男坊の人生だからね、あんまり引き留めることはできなかったけど、家業を手伝わせるべきだった。
長男坊はいいのだ。彼は自分の夢を追いかけて、戦車乗りになったんだから。生活の面倒は自衛隊が見てくれるし、心を病んだ時のサポートもしっかりしてくれたから、退役することもなく、今も自衛官として働くことができている。今更、家業をやれっていうことにはならないし、長男坊に自衛官以外の職業が務まるとも思えない。
だけど三男坊は違う。成りたい職業があって北海道に行ったわけではない。VTuberとして活動したいだけなら、北海道に行くよりも東京に出る方が現実的だ。ここは次男坊と同室だから、思う存分配信ができないっていうのは分かるが、まずは食べていかれなかったら話にならない。
稼げなければ意味がない。趣味程度にやる分にはいいかもしれないが、にじさんじとかに所属しているVTuberたちは、ボイトレ行ったり、ジムに通ったりとより良い配信をするための努力も欠かさないでいる。それが今の三男坊にはできていない。活舌が良くなるように独学で勉強はしていたが、それだけでは足りないだろう。
夢を諦めろとは言わないが、鬱が良くなる間だけでも帰ってきてここで生活してもらわないと、生活に困るだけなのだ。今の彼はバイトもできないし、配信もできない。規則正しい生活もできていない。金銭的な面を依存されても、もう応えることはできない。帰ってこさせるにしたって、北海道で暮らすために用意した家電や家具をどうするか、引越し費用をどこから出すか、頭が痛い問題しかない。
寛解して仕事もできるようになったら、北海道に行くなりなんなりするのは彼の自由だ。束縛するつもりはない。帰ってこないという選択肢は残されていないのだ。今のままなら。
もちろん、この危機に発奮して、就職するとかできるなら帰ってくる必要はないだろう。鬱が酷くて働けないのに、そんな奇跡が起きるとは思い難いが、可能性は0じゃない。合う薬に巡り合って、仕事ができるようにならないとも言い切れない。私が劇的に良くなったように、合う薬にさえ巡り合えれば、日常生活を普通に送ることもできるのだ。まあ、落ち込むことも多いけど。
本当に、どうしたものだろうか。そこまで北海道に固執するなら、自分で何とかする道も模索してもらわないと、こちらとしても手の打ちようがない。現実的なのは、帰ってきて、以前のようにここで暮らすことなのだが…
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