夫が、この暑さの中で寒いと言う。歳を取って暑さを感じ難くなっているのかもしれないけど、まだ65歳。年寄りというほど年寄りじゃない。やっぱり心臓が悪くて、熱が作れなくなっているんだろうか。食事もほとんど摂らないし、どんどん痩せていくし、終わりの時が近いのかもしれない。
そして、何よりも怖いのは、そんな夫を見ていても何も感じない自分がいること。夫が気分が悪い、食べたくないって言っても、またか、としか思わない。ふうん、そうなんだ、気分が悪いなら寝てれば?程度にしか思わない。食べたくないなら食べなくていいとしか思わない。冷たい、冷たい私がいる。
寒いと言って、エアコンを切ってくれと言われるのが困るんだが、私は汗をダラダラかきながら、エアコンを切る。つけっぱなしにしてブチブチ文句を言われるのを聞いているのが嫌だから。それなら、いっそ、熱中症で倒れる方を選ぶ。ほんとに、私以上に夫は面倒くさい人だ。私か夫本人かが熱中症で倒れれば、その時点で自分がおかしいと気付くだろうと思うのだが、どうなんだろう。
それでも寒いと言い続けるのだろうか。私は夫の言動のほとんどを信用していない。嘘が多過ぎる。虚言癖でもあるんじゃないかと思うほど嘘が多い。寒いというのも嘘で、心臓が痛いも嘘で、気分が悪いも嘘なんじゃないかと疑ってしまう。
仮に、本当なのだとしても、同情することもできない。それ程、私の心は冷めてしまっているから。夫がもう少しだけでも、私の心に寄り添ってくれたら、こうはならなかったんじゃないかと思う。自分勝手をやり過ぎた結果だ。
フキハラで気に入らないと暴力で解決しようとする夫なんて、正直、いらない。ATMだからと我慢してきたけど、今はATMでさえない。もう、必要ない。寒いとか気分が悪いとか、食べたくないとか、言いたいだけ言っていればいい。本当に調子が悪かったら、煙草なんて吸えないし、パソコンの画面なんて見ていられないから。
信用できないのだ。何もかも。家族の必要よりも自分の煙草代を優先しちゃうこととか、呆れてものが言えない。食べるものに困ったとしても、煙草代が優先になるんだろう、夫にとっては。
完全なニコチン中毒。チェーンスモーカー。心臓のためにも禁煙しなくちゃいけないのに、禁煙のきの字も考えちゃいないだろう。自分がお金を燃やしているようなものだと気が付くのに、あと、どのくらいの時間が必要なのか。
元ヘビースモーカーだった私は、お金を燃やしていることの馬鹿々々しさに気が付いて、あっさり禁煙できたぞ。もう20年も前になるか。私にできたことが夫にできないとは思えない。
IQだけは無駄に高い夫にとっては、周りは馬鹿に見えて仕方ないのだろう。自分の嘘にみんな騙されていると信じているんだろう。バレてるなんて微塵も疑ったことがないに違いない。あまりにも嘘が多過ぎて、何も信用されていないことにも気が付いていないんじゃないだろうか。
寒いのが本当ならば、気分が悪いのが本当ならば、食べたくないのが本当ならば、彼に残されている時間はもうほとんどないだろうけど、検査の結果は現状維持で、悪くなっていないのだ。検査結果から見て、彼の言動を信用しろっていう方が無理だろう。
寒いなら、仕事部屋のエアコンをつけなければいい。パソコンが死ぬかもしれないが、実際にはエアコンを使っているし、水分も摂っているし、食事は摂らなくてもお菓子は食べてる。これで、何を信じろって言うんだ?
いっそ、終わりの時が来てくれた方がマシかもしれないと思ってしまう。少なくとも気は楽になる。生活は厳しいだろうけど、心の平安は保てるような気がする。こんなことは思っちゃいけないって分かってはいるが、そう思わせてしまう態度をとり続けていることにも問題はあるだろう。
あまりのも自分勝手で、自分の言動に責任を持たなくて、指摘すれば不機嫌になって手が付けられなくなる。だから、誰も指摘しないし、夫に本当のことも言わないし、基本、放置になるのだ。居心地が悪いと感じているとしたら、自分の言動を顧みたらいいのだ。反省すべき点はいくらでもある。